夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
真っ白な着物を着て、口に鮮やかな紅を付けた彼女が、白粉《おしろい》で色白にした頬を桃色に染めて微笑むんだ。
綺麗な長い黒髪は、少し邪魔かも知れないけど、全部まとめ上げないで流れるように垂らしていてほしい。
それから…………。
ーーーガッシャーンッ!!
「きゃーーーッ!!」
「!……えっ?」
妄想の最中、突然聞こえてきた物音と叫び声。僕はハッとして絵本とポケ電を縁側に置くと、音が聞こえた台所の方へと駆け出した。
「っ……ミネア、さんッ?大丈夫ですか?」
「!……マオ、様っ」
何事かと思った僕は台所を覗き込むようにして声をかけた。
するとそこには……。床に屈んで、ぐしゃぐしゃに飛び散って割れた卵を拾っているミネアさん。
そして、部屋に香る野菜の炒めた匂いやケチャップの匂い。それから、何だか焦げ臭い匂い……。
「っ……あ、これは、……な、何でもないっ!何でもないんですの!」
駆け付けた僕を見ると、ミネアさんは慌てて調理台を自分の背中で隠した。
よく見ると、そんな彼女は初めて見るエプロン姿。