夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「……美味しいですよ、すごく。ミネアさん、ありがとうございます」
「っ……、もう、マオ様ってばッ……嘘、ばっかりっ……。っーーー……」
僕が微笑んだら、ミネアさんの瞳から涙がポタポタと流れ出した。
「や、やだ……っ。ご、ごめんなさいっ」
涙を拭いながら彼女は微笑もうとするが、止まらない涙にくるっと僕に背を向けてしまう。
いつもは凛としている背中が、小さな少女のようだった。
僕の為に、こんな綺麗な涙を流してくれる人がいるーー。
スプーンを置いて、僕は震える小さな身体を背中から包むように抱き締めた。
「っ……マ、マオ様?」
ビクッと揺れる身体に、早くなる鼓動。
みんな知らない。ミネアさんは、本当は”お姉さんキャラ”なんかじゃないんだ。
いつも背伸びをして、頑張ってるんだ。
僕はミネアさんの身体をゆっくり自分の正面に向かせると、頰に手を添え、親指で涙を拭いながらそっと彼女に口付けた。
夢は、夢。
月姫様《あれ》は、全部僕の創り出した世界《妄想》に違いないんだーー。
……
…………。