夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ーーイライラした。
こっちは脚を怪我して満足に動けない。最低一ヶ月は安静に、と医師から言われて不自由な生活。
ただでさえストレスの溜まる空間の中で、ユメの存在は苛々を増すばかりじゃった。
「っ……うるせぇんだよッ!!」
後から思えば、最低な事をした。
ユメが通い続けてくれて一週間程経ったある日。ワシは棚に置いてあった花瓶を、彼女の足元に向かって投げ付けて言った。
「毎日毎日訳わかんねぇ話ばっかりすんな!
まともに話せねぇ奴と会話なんかしたくねぇんだよッ……!!」
ーー酷い事を、言った。
今のワシならばそう思うが、当時のワシはそう言い放った事も、ユメの怯えたような表情を見ても……。少しも胸は痛まなかった。
ただ、彼女を見ているとモヤモヤする感情に戸惑い、自分の事にいっぱいいっぱいで……。
ユメは口さえ開かず普通にしていれば、おそらく美少女と呼ばれる部類。大きな瞳に色白な肌。何よりも女性にしては高いスラッとした身長に、胸も程よく出て腰にはくびれ……。つまりスタイルが良かった。