妖精の涙【完】
王
「ラファ!出てこい!」
オルドは精魂祭の閉祭式から帰り、勢いよく王宮の扉を開け足早に廊下を歩いた。
「オルド!いきなりどうしたのさ!」
「そのうちわかる!」
最初に執務室に向かうと、ラファはのんびりと窓の外に積もる雪を見下ろしていた。
「ラファ!」
「オルド?どうしたの?」
首を傾げて不思議そうに見るその仕草に腹が立った。
隠し事があるのはわかっているんだぞ!
「単刀直入に聞く」
「うん」
「妖精王とはなんだ」
その言葉を最後に、室内が静まり返った。
後ろにいるケイディスも何も話さない。
無音に響く耳鳴りだけが聞こえ、それを煩わしく感じた。
しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのはラファだった。
その間アメジストの目はオルドの目から離れなかった。
「妖精王は…かわいそうな王だよ」
そんなことを聞きたいんじゃない、と思ったが元々話すのがへたくそなのがわかっていたため続く言葉を待った。
「妖精王は5000年ぐらい前、人間の赤ん坊を拾ったんだ。女の子だった」
「人間の赤ん坊…?」
ケイディスも口をはさんできた。
「うん。妖精王はその子を育てることにした」