妖精の涙【完】
調査
平和だと思っていた。
最近は特に何も起こらず、行事もなく、リトルムーンを育てて、読書をして、仕事も慣れて時間を上手に使えるようになってきた。
読み終わってしまった本を閉じてテーブルに置いた。
本棚には読み終わった本がずらりと並び、そろそろ売ろうかと思い、1冊1冊確認しながら仕分けした。
「あ」
アゼルにもらった本を発見し、いる方の本の山に積まずに本棚に戻した。
売るわけないじゃないか、こんな大事なもの。
そして全部の仕分けが終わり、ふうと一息ついた。
換気をするために窓を開けると、びゅうっと冷たい風が通り抜けた。
気持ちいいなあ、と思っていると、突然背後のドアが開いてさらに風が吹き抜けた。
「え?」
振り返ると、俯いた騎士がニヤリと笑って中に入りドアを閉めた。
「誰ですか…!」
わけもわからず問うと、サッと距離を詰められ口と鼻を布で覆われた。
「フェールズのために…」
不気味な声で言われた言葉を最後に、すぐに目が霞み意識が遠のいていった。