妖精の涙【完】
距離
「ティエナ紹介するわ、彼はギーヴ。あたしも初めて会ったけどなかなか男前ね」
「褒めても何も出ねえぞ」
「それは残念」
髪を切った日の朝にやってきた1人の男性。
窓際で読書をしていると突然やってきてリリアナにいきなり紹介された。
背も高く体格もいい彼はリリアナに砕けた口調で話しかけた。
…ん?
初めて会った…?
「お兄様たちには会ったの?」
「ああ、さっきな」
その言葉に読んでいた本を閉じて机に置き立ち上がった。
彼らが今どうしているのか聞きたい。
「まあとりあえず座ろうぜ。お茶はさっき飲んできたからいらねえよ」
「あたしのお茶が飲めない?」
「なんでそうなるんだ?」
女ってよくわかんねえ、とぼやきながらもリリアナのお茶をしっかり飲んでいるところを見ると変な人ではないらしい。
…変な人ってなんだろう。
自分で思っておいてよくわからなかった。
「2人とも元気だった?」
「おまえ会ってないのか?」
「あたしでもなかなかね」
「ふーん、なるほど」
意味深に頷いた彼は今度はティエナを見た。
「まだ本調子じゃなさそうだな」
「ええっと…」
どう反応すればいいのだろう、と返事に困った。
この人はどこまで知っているのだろうか。
「俺のことなんも聞いてねえな?おまえはいつも説明が足りねえって言ってんだろ」
「イエローコリンの種をくださった方だとお聞きしています」
「…そんだけかよ」
圧倒的情報不足。
「俺の説明してやれよ」
「申し訳ございません、私からもお願いいたします」
「…わかったわよ」
拗ねたような顔をしながらもリリアナは本人からの補足を受けつつ説明してくれた。