俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡


「30分くらい、付き合ってやるよ」


「...ありがとう」


洸がなんだかいつになく優しい。


...どうして?


昨日のことがあったから?


中学のときは女遊びが激しかったのに、高校からはいきなり王子様になって。


だけどわたしが平民女だからって本性出してきて。


これまで何回もちょっかいかけてきたのに、急に優しくなって。


いったいどの洸が、ほんとの洸なの...?


考えれば考えるほど、わからないよーー...


「...か、晴香?」


時刻はとっくに30分を過ぎていた。


お互い帰る準備をはじめていたのに、わたしはカバンに教科書と手を突っ込んだままぼーっとしてしまっていた。


「あ、ご、ごめんっ」


「早くプリント出しに行くぞ」


「う、うん」


わたしはカバンを肩にかけ、仕上がったプリントを両手に持ってーー


...だめだ。


どうしても、知りたい。


...ちゃんと、洸の口から聞きたい。


教室から出ようとする洸を、


わたしは震えそうになる唇でーー呼び止めた。


「こ、洸」


「ん?」


クルリと振り返る彼。

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