俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
補習がやっと3分の2のところまできたその日。
前日、夜通しで大量の雨が降り、朝学校に着くと、グラウンドには大きな水たまりがいくつも出来上がっていた。
だから、グラウンドで行う部活動はすべて休みになったいた。
体育会系部活動特有のかけ声が窓の外から聞こえてこなくて、いつもより静かな補習の時間のことだった。
プリントを解くのに疲れて、わたしはイスに座ったままうんと伸びをした。
そのとき、窓の外でポツポツと雨が降っていることが視界に入った。
「雨、降ってる」
わたしがそうつぶやくと、隣にいる洸は「通り雨だろ」と返してくれた。
今日は曇りの予報だった。
だから洸の言うとおりきっと通り雨だろう。
だけどわたしは湿気が入らないように開けておいた窓を閉めることにした。
わたしの髪、湿気は大敵なんだよね。
立ち上がり、窓の方へと向かう。
扉を閉めたあと、ついでに鍵も閉めておこうと指をかけたーーそのとき。
...あ!
早川くんだ。
裏門のほうから、グラウンドを誰かが走ってきていて、その人物はなんだか見覚えがあるな、と思った。
よく見ると、ジャージ姿の彼だった。