俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
「ちょっと...!!」
早川くんに、見られる。
そう思って腕の中で体をよじるけど、抜け出せない。
チラリとグラウンドにいる彼に視線を移すと...
彼は表現できないような表情をしていた。
その表情の意味を、わたしはのちに知ることになる。
「...お前、アイツと仲いいのか?」
耳元でささやかれる。
だけど、いつもみたいに挑発的な口調ではなくて、ただ確かめたい。そんなふうに聞こえた。
「お、同じクラスだし、隣の席だから...」
控えめに答える。
わたしも決して挑発的に答えてはいけない。そんな気がした。
「...へえ。とんだ奇遇だな」
「...え?それってどういうーー」
どういう意味。言い終わる前に体の向きを反対に、つまり洸と向かい合わせにさせられると、
肩に手をおかれそのまま教室の後ろまで押されて...
トンと背中に壁が当たって、完全に逃げ場を失ってしまったことを認識した。