俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
「...なあ、」
数秒のその吸い付きがやっと終わってくれたと思ったら、頭を上げて熱っぽい瞳でわたしを見つめてーー
「俺の部屋での続き...しようか?」
なんて甘く、挑発的な口調で...ささやくように言った...。
つ、つ、続きって...。
5日ほど前のあの日の出来事を容易に脳内に思い返すことができて、カアアーッと赤らんで目を泳がしてしまう。
「してほしいんだろ?」
あのときみたいに顔を近づけられて、吐息が顔にかかる。
「こ、こ、ココ教室...っ」
そうだよ、教室でなんてことをしてくるんだ、このバカ王子は。
わたしはそういうつもりで言ったのに、
「また俺の部屋がいいのか?」
なんて最もらしいようなことを返される。
「ち、ちが...っ!!」
そういう意味じゃないのに...!!
「...でもさ、ふたりきりの教室って...俺の部屋より、興奮しねえ?」
攻めに攻められまくって、もう頭はクラクラだ。
「ば、ばかじゃないの...っ」
そんな幼稚なことしか言い返せない。
「...ばか?お前、いつからそんな口聞くようになったんだよ?」
やっぱりこの王子には敵わない。
なにを言っても勝てる気がしないーー。
「なあ晴香。してほしいなら...言えよ?」
確信づいているような言葉を並べる洸。
「キスして...ってな?」
「っ...」
そんなこと思ってもないし言うわけないけど、ただただ唇が震えてしまって、
洸がこのあいだ言ったとおり“何もされていない”のに、
わたしはもう立っていられなくなるほど体に力が入らなかったーー
ーーガラガラッ
わたしと洸は教室の一番後ろの奥にいたため、対角線上にあるその扉が乱暴に開かれたその音がやけに遠く感じた。