俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡


「わざと困らしてんだけど?俺のせいで困ってる顔見んのって、最高に気分いいんだわ」


この上なく挑発的で、そしてなんとも妖艶に告げて...

その“最高に気分がよくなる顔”をのぞき込んできたと思えば、

一寸の迷いなく頬に口付けられた。


「ッテメエ...!!」


ーー雷が堕ちたのかと思った。


彼はわたしたちのほうへとあっという間にたどり着いたと思ったら、

わたしと洸を無理やり引き剥がして...

洸の胸ぐらをつかんだと思ったら、普段バスケットボールをついているその右手で洸の左頬を思い切り殴り付けた。


洸は少しよろめく。


だれかがだれかを殴るところなんて見たことがなくて、思わず目をつぶってしまった。


「お前...ッなんにも変わってねえな...!?

あのときも、そうやって...ッ!!」


その声は震えていた。


だけど...痛いくらいに力のこもった声色だった。


怒り、悲しみ、絶望...すべてが混じったような目付きで洸を睨んでる。


心底洸のことを恨んでいることが...ひしひしと伝わってきた。


洸はなにも言い返さずに...

ただ少し崩れてしまった髪の毛を整えただけだった。


「...真瀬。

補習中にごめん。ちょっと来てほしい...」


早川くんは自分を必死で落ち着かせたあと、突っ立っているわたしにそう告げた。


わたしは小さくうなずいて...

教室を出る彼の後ろについていった。


洸のことをチラリと見たけど...顔を少し伏せているせいで、

どんな表情をしているのか分からなかった...。

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