俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
お願い
わたしはただ早川くんの背中についていった。
彼は2階から3階、3階から4階まで階段を登っていって...
その上は屋上だけど、屋上は立ち入り禁止のため、その手前の行き止まりになったところで立ち止まった。
そして、ゆっくりとこちらを振り返った。
「感情的になっちゃって...ごめん」
まず、そんなふうに謝られた。
どうやら自分がいかに怒り狂っていたか自覚があるようだ。
「ううん...」
わたしは首を横に振ることしかできなかった。
さっきの一連だけでは、洸と早川くんの過去に何があったのかは分からないからだ。
わたしが困っているのを助けてくれたことに違いはないけど...
それよりも、深いなにかが眠っている。
早川くんをあそこまで怒らすなんて...洸はいったいなにをしたの...?
「...アイツも一緒に補習受けてることが、まず驚きなんだけど」
彼はひとつひとつ整理したいかのように告げた。
わたしはありがたかった。
わたしも洸について知りたいと思ったから...。
「洸、9月から留学するみたいで、単位を先に稼ぐために...」
「...そういうことか」
彼は納得したように小さくうなづいた。
洸の家の英才教育というものを理解しているかのようだった。