俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡


「真瀬は...アイツのこと、好きなの?」


まっすぐな瞳で問われた。


沈黙が流れる。


現在雨はやんでいて、洸が言っていたとおり通り雨のようだったけど...空気はあきらかによどんでいた。


「...となりの席で、仲田によくアイツのことかっこいいって言ってるの聞こえてたよ。

本性を知る前は、好きだったでしょ?」


「...っ」


わたしは小さくうなづいた。


でも、正しくは“好き”より“憧れ”のほうが大きかったと思う。


あのとき洸のことは、ほんとに手の届かない王子様だと思っていたから。


今だったら届くなんてことは、まったくないけれど。


「今は...どう思ってる?遊ばれてるんだよ?

今はまだ軽くちょっかいかけられててドキドキしたりしてるかもしれないけど...いつか、泣くはめになるよ」


彼は確信しているように言葉を並べる。


「だってアイツは......俺の彼女を襲ったから」


自分の耳を疑った。


わたしの......聞き間違い?


「襲った...って...」


それがどういう意味か、男経験のないわたしでも、理解した。


「無理矢理ね。

俺が助けたから...未遂にはとどまったけど」


一呼吸置いて。


「彼女はそのあと男の人が怖くなって俺から離れていった。

吐き気がするから言いたくないけど、俺とアイツは親友だったんだ」


そうだと思った。


だって、それほど仲良くない人と“絶縁”なんてしないから。


“絶縁”するほど仲がよかったということだと思った。


「アイツのこと、今でも許せない。

自分の欲求を満たすためだけに、彼女を傷つけたんだ」


そしてそれは同時に親友であるはずの彼を裏切ったということ。


その上彼から大切な彼女を奪ったということ...。

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