俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
はじまり


「お母さーん、ほんとに行かなきゃだめなんだよね?」


すでに制服に着替えているし、持ち物だって準備完了だけど、わたしはだだをこねるように口を尖らせてみた。


「そりゃあお母さんも晴香に夏休みちゃんとあげたいけど...留年するほうが嫌でしょ?」


困らせたいわけじゃないんだけど、お母さんは困った顔をする。


「そうだけどさ~...紗由理なんて、初日から海行くなんて言ってたよ」


「晴香も土日にめいいっぱい遊んだらいいじゃない!ねっ?

後遺症もなく、無事完治して退院できたことがうれしいじゃないの!!

お母さんもお父さんもほんとに安心してるのよ」


そんな素直な言葉を伝えられ、思わずじんときてしまう。


「じゃあ、1ヶ月がんばる!行ってきまーす!」


「行ってらっしゃい」


笑顔のお母さんに見送られ、わたしは1ヶ月ぶりにローファーに足を通した。

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