冷たい指切り　　～窓越しの思い～
取り上げられないかもしれないし……

たとえ取り上げてもらっても………まともに答えてもらえないかもしれない。

もしかしたら、出した生徒が教師にバレて

………処分を受けてしまうかもしれない。

そうして……担当したのが、彼女だった。

初めての相談。

誠実にしっかり……向き合おうとするひたむきな生徒。

彼女だから、この相談を取り上げたんだろうな。

答え方は……

パーフェクトに近かったと思う。

相手の子への気遣い。

自分が恋愛を知らないと正直に話す誠実さ。

自分の考えを押しつけずに話し、教師が導いて欲しい答えを伝えるが………

決して良い子の答えではない。

ここまでは……完璧。

ただ、最後は………

彼女のしたことは、守秘義務として当然だ。

教師と生徒なら、当たり前の行動だっただろう。

だが………

現実は……彼女も相談者も………生徒なのだ。

二人共……守られる側。

初めての相談者を守りたいと願う彼女には申し訳ないが……

教師は……差出人を探すだろう。

何とか彼女を守れないだろうか？

家庭の悩みを抱える彼女を……これ以上苦しめたくない。
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