冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「伊藤さん、体育祭のパンフレットを綴りたいのですが……
放課後大丈夫ですか?」

俺の質問に

「すみません、役員会があるので……4時を回ってもいいですか?」と

そうだった。

俺も役員会に顔を出さないといけなかった………。

俺の失敗を可笑しそうにクスクス笑いながら、友達3人と門をくぐる。

彼女の笑顔に安心していると

「和くん、おはよう!」と教師らしからぬ時間に登校する樹。

コイツは本当に要領がいい。

生徒、教師問わず……愛される。

それだけに、素っ気ない伊藤さんが気になるらしく

「僕を嫌いなちぃちゃんと、仲良くお話しちゃって!」と

事あるごとにイチャモンをつけてくる。

「はいはい。
それより、後5分だぞ。」

俺の心配も、どこ吹く風で………

「4時に俺も、数学準備室にお邪魔しようかなぁ~
二人っきりって……危ないし。」

「アホ。
今よりもっと、嫌われるぞ。」

「それは困るから、司書のお姉さんとおしゃべりしてます。
和くんの彼女とは、仲良くしないとね!」

「バッ!………人聞きの悪いこと言うな!
誤解されたら、伊藤さんが大変なんだぞ!」

さすがに笑って流すことが出来ないから、厳しく注意する。

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