冷たい指切り  ~窓越しの思い~
職員室に戻ると、早速同期の国語教師……木村 樹に

気になる生徒について聞いてみた。

「あっれ~!和くん。
早速クラスの子に手を出しちゃったのぉ~??」

樹の冗談は、いつもの事だからスルーして

「アホ。
それより、伊藤千尋って……どんな子?
今日の印象は
しっかりして明るくて……リーダー的存在だった。
クラス委員も自分から立候補してくれたし。
こんな子がいたら、たとえ担当してないクラスでも
知ってそうなんだけどなぁ~。」と本題に入る。

教師の顔に戻った樹も

「う~ん。
入学当初から…成績は良かったみたいだけど……
目立つ子じゃ……なかったなぁ~
うちの学校によくいる普通の生徒だよ。
品行方正、言われたことをちゃんとする……お嬢様。
元々、お姉ちゃんが有名人だったから……
その妹ってことでは、目立ってたけどね。
変わったのは………秋の終わり………11月くらいからだったかなぁ~??
成績はトップクラス、よく笑うようになって……
率先して行動するようになったらしいよ。」

有名人の姉ちゃんに、急激な変化。

何が彼女を変えたんだろう?

この学校は、良くも悪くも……無菌状態。

のため、刺激を受けることは難しく変わることはもっと難しいことだ。

「サンキュ。また、何か思い出したら教えて。」

ニヤニヤ笑う樹をほって

明日の準備をするために、自分の席に戻った。

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