冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「悪い、シートベルト閉めて。」

何を考えてこんな生活。

…………って怒りたいけど………姉ちゃんを思う彼女の精一杯。

妹を思う姉と……姉を思う妹。

いじらしいけど………親は何をやってんだ?!

ご両親には申し訳ないが、俺の中では最低の親の認定がついた。

「ちょっと先生、何処に行くの??
ねぇ~、海でデートしてお話し聞いてくれるんじゃなかったの??」

彼女の言い分を無視して、車を走らせる。

途中、コンビニでお菓子に弁当・ジュースにお茶・ゼリーにプリンに………

思いつく物を片っぱしにかごに入れてレジに向かった。

「家は何処??」

俺の質問に『帰らないから!』と……。

分かってる。

本当は、帰すべきなんだけど………姉ちゃんを思う気持ちを聞いたら。

「当分の着替えと勉強道具………車だから要りそうな物を出来るだけ持っておいで。」

目をパチクリさせて、こちらを見て固まる。

「急がないと、4時までに学校に帰れないんですけど…。
俺のパンツで良いなら、このまま出発するよ?」

俺の言葉にようやく少し状況が掴めたらしく………

「先生のエッチ!!」と叫んで車を降りる。

「チョイチョイ!
これを、姉ちゃんの目につくところに置いておいで。」

渡したのは、俺の住所と携帯番号。

それと、『教師だ』と身元が書いてある。

さっき寄ったコンビニで書いた。

「先生………………。」

気にする彼女に

「ほら、やっぱり俺のパンツが履きたいのか?
イチ、ニイ、サン…………」とカウントをうつ。

慌ててカギを開けて、ドアの中に消えた。
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