冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「これで全部?」

ボストンバッグ2つ分に詰め込まれた荷物。

受け取ってトランクに入れ

「忘れ物はない?」と聞くと

「あっ、待って!」ともう一度家に入って行った。

「………………これ………持って行っても良い??」

ドアから顔を覗かせて見せたのは、うさぎのぬいぐるみ。

「良いよ。持っておいで。」

以外な物に笑いそうになる………。

大切そうに抱いたうさぎのぬいぐるみと一緒に、助手席に座る。

「先生……………何処に???」

俺だからいいけど……

心配そうにするわりには、こんなにすんなり着いて行ったら

変な男に襲われるぞ。

2週間、何事もなく………無事でいてくれたことに感謝だ。

「うん?…………俺の家。」

「えっ!!先生のお家???
あっ………ダメです。先生に迷惑をかけられません。
教師のお家に生徒が行くなんて……ダメです。
バレたら……………クビですよ!
あの…………先生………。」

いくら俺でもそれはないって。

「大丈夫だから、安心して。
俺は、樹のところに泊めてもらうから。
ただし、伊藤さんの家みたいに広くないからね。
男の部屋だから、汚いし………。
雨風しのげてテスト勉強が出来たら、ヨシにしてね。」

「でも…………。」

「素直に『はい。』って甘えなさい。
俺も『何処にいるんだ?』って心配するより安心だから。
その代わり、成績は落とさないこと。
後、ご飯をしっかり食べて寝なさい。
いいね?」

「…………………はい。ありがとうございます。」

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