冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「やだぁ~。樹先生ってばぁ。」

望月さんには伝わっているのだろう。

何やら樹と話し、お騒ぎで笑ってる。

「和君、その鍵はここのだよ。」

「ここって………」

「そう!!伊藤さんが使ってる、この部屋の鍵。
スペアキーがあった方が、便利でしょ?」って………。

「アホか!便利な訳ないだろう!
伊藤さん、ごめんね。
使うことはないし、このアホにも持たさないから……安心してね。」

本当に何を考えているのか…………。

これまでも、変なプレゼントだったけど…………笑えた。

だけどこれは、シャレにならない。

俺が樹を怒っていたら………

「樹先生!本当にこれからも、私にここを貸して下さるんですか?」

「もちろん!大学もここから通ったらいいよ。」

樹の返事を聞いて………

「だったら、和也先生が持ってて下さい。
何があるか分からないから。
先生が持っててもらえると安心だから。」

伊藤さんの言葉にびっくりしていたら……

肘でツンツンつつきながら、樹が笑った。
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