冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「和也先生、これ私からのプレゼントです。」

そう言って望月さんが、ブルーのチェックの包装紙に包まれた

少し大きめの箱を差し出した。

「いえいえ、教え子にプレゼントを頂く訳にはいきません。」と

辞退する俺にクスリと笑って

「樹先生のお友達とは思えませんね。
だったら、今日は生徒の望月ではなく……
いっちゃんの彼女のはぁちゃんって……思って下さい。
それだったら、いいでしょう?」と。

さすが樹とつき合えるだけある。

頭も良いが、それ以上にユーモアがある。

俺もイタズラ心が湧いてきて

クスリと笑って「いいですよ。」と、ありがたくもらった。

包みを開けると……シルバーのシンプルなフォトスタンド。

「大切な時を飾って下さいね。
ちなみに、樹先生とお揃いです!」

茶目っ気たっぷりのプレゼントは、いつか大切な時間がもてた時に

飾ろうと思う。

「ありがとうございます。
いつか、飾った写真がお見せ出来るよう楽しい時間をおくります。」

望月さん………改め、はぁちゃんの素敵なプレゼントを大切に包み直していたら

「私のも、もらってもらえますか?」と………。

伊藤さんが差し出したのは…………数本の缶コーヒー。

「さっき聞いて……何も用意出来なくて………
そこのコンビニで買いました。
以前カルピスを頂いた時に、飲まれてたのを思い出して………。
色気も可愛げもなくてすみません。」って。

「ありがとうございます。
だったら、遠慮なくもらいますね。
俺の飲んでた物を、覚えてくれてるなんて…………嬉しいです。」

もらった缶コーヒーを1本テーブルに置くと

「早速、頂きます。」と缶を開ける。

「後でコンビニに走ろうと思ってたから……助かります。」

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