冷たい指切り  ~窓越しの思い~
ピンポーン!

俺は電話に出てくれない彼女に、痺れを切らせて自宅を尋ねた。

「はぁい。」

すんなりと開いたドア。

びっくりして固まる彼女に

「こんにちは。」と笑いかける。

「……………あっ、あの……」

「びっくりした?ごめんね。
電話したけど取ってもらえなかったから……来てみました。
今………大丈夫?」

俺の登場に、まだ落ち着きを取り戻していない彼女は

「…………大丈夫??えっと……大丈夫かな??」と。

制服姿とは違う、Tシャツにハーフパンツというラフな格好。

何処かに出掛けるようには見えない。

「今、お姉ちゃんは?」

「大学に行ってます。」

「そっかぁ~
だったら、留守番しないといけない?ってことはないかぁ。
ずっと家出してたんだもんね。」

逃げ道をジワジワと塞ぐ。

「だったら俺について来てくれる?
無理だったら、ここでお姉ちゃんが帰って来るのを待たせてもらうけど。」

これには、ついてこない訳にはいかない。

「着替えて来るので……少し待ってもらっていいですか?」

これでも十分可愛いと思ったが、若い女の子にはこだわりがあるのだろう。

「そこの先の公園に止めて待ってるから、ゆっくりでいいよ。」

「はい。」
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