先輩の彼女
「灯…」

先輩はふわっと優しい笑顔を返してくれた

「あーあ。隆斗を好きになれたら良かったのに…そしたらずっと一緒に居られるのに…」

ズキン…
先輩の一言に激しく胸が痛む

「でも…駄目なんだよね…あたしも、隆斗も…」

先輩は寂しそうに笑い言葉を続けた

「大切な人を見つけちゃうとね…どんなに辛くて、泣いても他の人じゃどうにもならないんだよね」

胸が痛い
苦しい…
涙が出そうになるのをあたしは必死にこらえた

「隆斗先輩はいつでも幸乃先輩を思ってますよ…羨ましいくらい」

隆斗先輩はきっと幸乃先輩が好きなんだと思う

あの優しい笑顔は愛を感じるから…

切なくて泣きたくてでも笑って見せた

「とも…」

「先輩。話してくれますよね?彼氏さんと…」

何かを言いたげな先輩の言葉を遮りあたしは言った

「大丈夫です。素直に自分の気持ちを伝えてください。さっきみたいに…先輩の好きになった人でしょ?先輩のこと分かってくれないわけ無いですよっ」

それだけ言うとあたしは席を立った

「ともちゃん!」

丁度良いタイミングで隆斗先輩がお兄さんらしき人を連れてやって来た

あたしは隆斗先輩とお兄さんに一礼して

「じゃあ、先輩バトンタッチです」

笑顔で言ってお店を飛び出した

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