先輩の彼女
ここへ来て一週間が経った

あたしは毎日をぼんやり過ごした

隆斗先輩を思い出して泣いた日もあった…

「ねぇ、那智兄…何で何も聞かないの?」

今日は日曜。那智兄もお休みで家にいる

「聞いて欲しいのか?」

「ううん。ありがと…でも…ちょっと話して良い?」

那智兄は良いよっと言って頭を撫でてくれた

「あたしさぁ、好きな人が居てね。でもその人には大切な人が居るの…あたしは2人とも大好きなんだぁ。でも…もう一緒に居るのは辛いの…」

幸乃先輩と隆斗先輩を思い浮かべながらあたしは話した

「その2人は付き合ってる訳じゃないんだろ?」

「うん。幼なじみ。女の子の方は男の子のお兄さんと付き合ってるの…でもね…見てて分かるの…凄く大切にされてて、守られてて…」

唇を噛み締めた
泣かないように…

その時
ふわっとあたしは抱きしめられた

「泣きな…辛いなら泣いて良いよ…ただ灯…お前はまだそいつの気持ち確かめてないよな?」

先輩の気持ち?
ううん…見れば分かるよ…

あたしはフルフルと首を振った

「俺は詳しいことわかんねーけど、その男にとってその女の子は俺にとっての灯と同じ気がする」

那智兄にとってのあたし…?

「俺は灯が大事だし、困った時は助けるし…今までもこれからもそれは変わらない。でもそれは恋とは違う」

「だって那智兄は従兄弟だよ?」

そう、親戚と幼なじみでは違う気がする…
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