先輩の彼女
ガチャ

着いたのはアパートの一室だった

「入って」

腕を引かれるまま奥の部屋に入った

「あのっ…」

先輩の背中に声を掛けたが返事は帰ってこなかった

「適当に座ってて」

言われるまま、その場に座った

見たことのある服や大学の教材

ここは先輩の部屋みたいだ

「はい。どうぞ」

キッチンから戻ってきたのか先輩はマグカップを2つ持ちあたしの隣に座った

マグカップにはミルクたっぷりの紅茶が入っていた

「ありがとうございます」

カップを受け取り、一口含むと、ミルクの甘い味が口の中に広がった

「ごめんね。いきなりこんな所に連れてきて…」

あたしは首を振った

ちゃんと話さなかったのも逃げたのもあたし…

先輩は悪くない

「一週間もどこにいたの?」

ゆっくりとまた話始めた

「さっきの人のところにいたの?」

「え?」

先輩見てたんだ…

「はい…」

あたしはコクンと頷いた





短い沈黙が訪れる





「あの人は誰?ともちゃんとどういう関係なの?」

いつもの穏やかな先輩の口調とは違って強く責めるような言葉…

あたしは驚いてジッと先輩を見つめた

< 28 / 99 >

この作品をシェア

pagetop