先輩の彼女
映画は甘く切ないラブストーリーだった…
主人公の女の子の気持ちが痛いくらい伝わってきて
何度も涙をギュッとこらえた
映画が終わると、お昼を食べようとファミレスに向かった
映画のことをあれこれ語りながらご飯を食べた
「灯は今日の映画一番どこが良かった?」
「うーん。主人公が書いた手紙かな…」
映画の中で主人公は好きな人に手紙を書く
『どうして出会ったのかな?
出会わなければこんなに苦しくなかったかな?
こんなに泣かなくて良かったのかな?
…でもね出会うことが無かったらきっとこんなに優しい気持ちも、楽しかった思い出も、ちょっと醜いけどスキがあふれたヤキモチも笑うことさえも無かったかも知れないね。
そしてなにより、泣くほど人をスキになることも無かったんだよね。
ありがとう。
大好きだよ。
泣きたいくらい…切ないくらい…
大好きだよ。
あなたが他の誰かを思っていても、あなたと出会えたこと、それが大切な…
大切な…宝物だよ
叶うなら…あなたとまた笑いたい…』
大切な人を想う気持ちが溢れてくる手紙
「良いよね。出会えたこと、それが大切な宝物…でしょ?」
幸乃先輩が優しく微笑む
「はいっ」
あたしも笑って頷いた
あたしもそう思えるようになりたい
隆斗先輩と出会った事を…