先輩の彼女
「なにす…」
「ともちゃん…」
空耳かと思った
ううん
空耳であって欲しかった
恐る恐る声のする方に振り向いた
「先輩…」
一番居て欲しくない人がそこにいる
見られた…?
血の気が引くような感覚にそれ以上の言葉が出ない
「ふーん。王子様のお出ましか…じゃ、またね。灯」
クスっと笑い校舎の方へ歩いていった
一歩一歩、先輩が近付いてくる
怖くて…逃げ出したいのに足が動かない
嫌われたくない…
先輩はあたしの前まで来ると腕を掴んで歩き出した
何も言わない…
ただ校舎とは逆の方向にドンドン歩いていく