先輩の彼女
「先輩。あたし謝ってもらう為に来たんじゃないです」
そっと先輩の手を包んだ
「確かに、怖かったし、嫌でした…でも、ホントは少し嬉しかったんです」
「え?」
ゆっくりと先輩が顔を上げる
「あたし…先輩が他の男の子にヤキモチ妬いてくれたのかな?って思ったんです…」
自惚れかな…っとあたしは笑った
「自惚れじゃないよ…」
「え?」
ボソッと小さな声が聞こえてきた
「自惚れじゃないよ。俺はあの人に嫉妬してたんだ。…あの人だけじゃない。ともちゃんの従兄弟さんにも、兄貴にも、幸にも…」
淡々と先輩は言葉を並べていく
「俺はともちゃんが可愛くて…離したくなくて…こんな事言う資格無いけど…ともちゃんが好きなんだ…」
涙が溢れた…暖かい涙が流れた
もう…これ以上の幸せは無いよね…
大丈夫
怖くない…