先輩の彼女

「先輩…あたしも先輩が好きです…」

言いたいことも聞きたいことも沢山あったはずなのに…

今はこれしか見つからなかった…

「先輩が大好きです…」

あたしは先輩に抱きついて泣いた

「ともちゃん…俺で良いの?だって俺…」

「先輩じゃなきゃ要らないっ」

先輩じゃなきゃ嫌

先輩だからあたしは今ここにいる

先輩だから…向き合えた…

先輩だから…

きっと好きになったの…

「ともちゃん…ありがとう…」

先輩の腕に力が入る

少し痛い位の力が何故か心地いい

あたし…

ここにいて良いんだ…

止めどなくあふれる涙は暖かくて

幸せだった…

「先輩…」

「ん?」

どれくらい時間がたっただろう?
外はもうオレンジ色で部屋の中も優しく包む

「あたし…先輩の彼女になりたいっ」

今なら叶えてくれますか?

「俺も…灯の彼氏になりたい」

どちらとなく唇を重ねた

多分これが初めてのキス

そして始まりのキス…
< 57 / 99 >

この作品をシェア

pagetop