先輩の彼女
それからあたしはギリギリまで大学に通うことにした

学長にも話をして、夏をめどに自主退学をする

幸乃先輩にも、隆斗先輩との事は話した

赤ちゃんの事は除いて…

すごく心配もされたし説得もされた

でも首を縦には振れなかった

自分でも分かっていた

でも…

こうするしか出来ないんだ

弱虫で臆病な自分には…


先輩と別れて携帯が鳴らない日はなかった

でも、忙しいだろう今の時期には先輩は絶対帰ってこられないと踏んでいた

早くても夏…

そしたらあたしはここには居ないから…

大学を辞めたら実家に帰ることにしている

なのに…



その日の講義を終えてあたしは大学を出た

「ともちゃん!」

聞きなれた声

大好きな声があたしの名前を呼ぶ

居るはずがない…

第一今日は平日だし…

固く強張る体を振り向かせた

「先輩…どうして…」

間違えない

間違えるはずの無い人の姿がそこにある

無意識に2・3歩下がるあたしの腕を逃がさないと言わんばかりに掴んだ

「話がある…」

こんなに怒った先輩は見たことが無かった

それでも、もう逃げれない…逃げちゃいけない

そう感じて先輩を家に招いた

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