先輩の彼女
言うつもりは無かった

できれば言わないで居たかった

先輩は優しいから…

きっと悩ませてしまう

それでも…

真剣な瞳をそらすことが出来なかった…

鞄から一枚の写真を取りだし先輩に渡した

「これは…」

写真を持つ手が微かに震えている

「まさか…ともちゃん!?」

まだ小さな小さな赤ちゃんのエコー

あたしはゆっくりと頷いた

「体調がおかしいのには薄々気が付いていました。でも言えなかった…」

間違いなく先輩の子だけど、それが嬉しくもあり怖かった

明らかに関係が変わってしまう事実だから

「あたし、実家に帰ることにしました。母と一緒に暮らしますだから…」

「なんで!!」

言い終わる前に先輩の言葉が遮った

「何で大事なこと全部一人で抱え込んで決めちゃうの?俺の子でしょ?俺とともちゃんの子供でしょ?」

俯く事しか出来なかった…
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