先輩の彼女
「灯、ホントに良いの?」
今日は定期検診
お仕事がお休みの幸乃先輩が付き合ってくれた
お腹の子は順調に成長しているみたい
「何がですか?」
少し目立ってきたお腹
もうすぐ6ヶ月になる
「子供産んで落ち着いてから隆斗と暮らすのは分かるけど、結婚式しないとか…それにまだ籍も入れてないんでしょ?」
結婚すると決めたものの、いわゆるできちゃった婚のあたし達には何もかもが急すぎて、結局のところ何も決まってはいなかった
それにあたしは学生、先輩は新卒社会人なわけで、結婚式とかそんな余裕は無い
いくらお互いの親が、式を挙げてくれると言ってくれても、何だか申し訳なくて断り続けている
「籍は、先輩が落ち着いたら入れる予定ですよ。まだ決めてから3ヶ月ですからね。…式は良いんです。いつか挙げられたら良いねってくらいで」
不満そうな幸乃先輩
ママも先輩のご両親も同じ顔をする
結婚式やウエディングドレス…憧れない訳じゃないけど、今は隆斗先輩と一緒に居られるだけで十分
近くのカフェに入り遅めのランチを取った
つわりがおさまってからと言うもの
体重が増え始め、分かっているけど少し切ない気持ちにもなる
「灯、それだけ?」
少な目のパスタにサラダとスープ
普通の女の子と同じくらいの量
「はい。あんまり食べると体重制限掛かっちゃうんで」
食欲が増しついつい食べ過ぎてしまう現状が痛い
「そっか~大変なんだね」
そうなんですよ…とあたしは苦く笑った