先輩の彼女
カーテンを開けると先輩はコテや、ヘアスプレー、メイク道具を並べていた

「あ。着れた?お腹キツくない?」

ふわっとしたドレスはお腹周りにも余裕がありレースを重ねたスカート部分は大きくなったお腹を目立たなくさせた

「はい。大丈夫です」

「じゃあこっち来て」

先輩に手招きされ鏡の前の椅子に座った

「髪と顔軽くいじるね」

あたしは言われるまま頷いた

「先輩、今日は何があるんですか?」

隆斗先輩も教えてくれない

幸乃先輩はきっと知ってるよね

「良いことよ。もうすぐ分かるから…」

やっぱり幸乃先輩も教えてはくれなかった

あたし一人が知らないみたいで何か寂しい…

「そんな顔しないで?これは灯へのプレゼントなんだから」

「プレゼント?」

鏡の向こうの先輩は楽しそうに微笑んだ

「そう。とびっきりのプレゼント」

そう言うと手早くコテであたしの髪をクルクルと巻き、綺麗にメイクも直してくれた

コンコン

「準備出来た?」

入ってきた先輩はお洒落なスーツに身を包んでいた

「うん、バッチリ!あたし、あっちの様子見てくるね」

幸乃先輩は足早に部屋を出て行ってしまった

「うん。ともちゃん可愛い」

そう言って髪が崩れないように、ポンポンと軽く頭を撫でた

「先輩、ただの食事…じゃないですよね…?」

先輩はちょっと困ったように笑った

聞かない方が良かったのかな…
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