夢の世界で会いましょう
お待ちしておりました

1ある日、夢を見る

以前こんな夢、見た事ある。

あの時の続きじゃないか

そんな事はよくある。

そういう時こそ、今夢だと解ってしまう。
以前はここで空を飛んだけど、また飛べるかなとか
こんな展開だったから、逃げられるなとか

夢の世界を先読みする事も出来る。


それでも今までそんな連続した世界は、片手で足りる位の回数しか続かなかった。

今回もそうだろうと思っていた。

けど、今回は違った。


「流石に毎日同じ世界の設定の夢は見ないよね」

夢の中の優奈はやけに冷静だった。

毎日毎日同じ世界の夢ばかり見る。

自然豊かなその世界は、夢の世界らしい生き物が存在して、ゲームにありそうな職業もあって

正しく夢の世界、という展開だった。

「まるでRPGの世界だよ」

優奈はこの世界を探索していた。
現在7日連続同じ世界の夢を見ている。

この世界には時間という概念があるらしい。

昨日覗いた雑貨屋に今回も訪れると、今日も来てくれたのって、笑顔で言われた時は驚いた。

「……でも私はこの世界で何をしたらいいのだろう」

雑貨屋で欲しい物があっても買えない。
何故ならお金が無いから。

現実世界とは通貨の単位が違う。
働きたくても勇者や戦士といった戦闘物は、嫌だった。
優奈の直感では、やけにリアルなこの世界で死んだら、本当に死んでしまいそうな気がしたからだ。

では花屋とか飲食店でバイトをしようと思っても、この世界での優奈は家無し状態であり、不可能だ。

夢の世界の優奈は、無職、家無し、無一文という絶望的な状態だった。

「歩き回るしかないんだね…」

ふぅ…と、小さな溜息と共に漏れる言葉は、賑わう街並みに掻き消されいく。

宛もなく彷徨う事をこれ程まで苦痛と思わなかった。

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