夢の世界で会いましょう
★★★
聞き慣れた機械音が耳に入る。
目を開くと見慣れた天井が目に入る。
お気に入りのキモカワ猫のぬいぐるみ、にゃん太も枕元にあった。
「……やっと現実に帰って来れた」
熟睡しているはずだが、休めた気がしない。
身体が重く、筋肉痛のような鈍い痛みが全身に伝わってくる。
夢の中であれだけ動き回れば、当たり前と言えば当たり前だ。
優奈は重い瞼を擦りながら、ベッドから身体を起こす。
おかしな夢の終わりはいつ来るのだろうか。
今日の夜もまた見るのだろうか。
そう思うと、寝るのが億劫になる。
睡眠時間を減らそうかと試みたが、何故か0時前になると異様な眠気に襲われ、いつの間にか寝てしまう。
この夢を見始めて良かったと思える点は夜更かしが出来なくなった事、そして朝きちんと起きられるようになった事位だ。
優奈は寝巻きを脱ぎ捨て、制服へと着替え始める。
彼女は東京都内の高校に通う、普通の女子高校生である。
元々は九州生まれだが、親の仕事の都合で高校から都内へと引越してきた。
まだ半年しか経っていない為、不慣れな事ばかりだ。
そのせいでこんなおかしな夢を見るのだろうと、優奈は自分に言い聞かせていた。
リビングへと向かうと、香ばしい朝ご飯の匂いがする。
「おはよう優奈。最近寝坊しなくなったわね」
「んー…夢見があまりよろしくなくて」
優奈の母親は台所で朝ご飯の支度をしていた。
居間のテーブルには、既に父親と弟のかずきが座っていた。
「姉ちゃん凄いね、もう1週間も寝坊してない」
「うっさい」
ケラケラと笑うかずきに素っ気なく返すと優奈は席に着いた。
かずきの言う通り、寝坊が減り、朝食をきちんと食べられるようになったのはありがたい事だ。
「前まではろくに朝ご飯食べてていなかったからな。年頃の子は、ちゃんと食べないと」
嬉しそうに笑う父親に、優奈は何も言えず、黙々と朝ご飯を食べる事しかできなかった。
「ご馳走様でした」
食べ終わったかずきは合掌をしながら終了の意を示すと、台所から離れていく。
「さて、俺もそろそろ出かけるかな」
父親も同様にその場から離れて行った。
1人机に残された優奈は、お皿に乗っている目玉焼きを口に放り込みながら、2人を見送った。
★★★
少し肌寒さを感じるこの時期は秋だなと感じさせる。
時は10月、もうすぐ冬が訪れる。
制服のスカートが寒くなり、ジャージを下に履きたい衝動に駆られつつも、優奈は今日も制服を着こなす。
肌寒いおかげか、この時期は授業中もあまり眠くならない。
優奈は黒板の内容をノートに写しつつ、別の紙に夢の相関図を書いていた。
7日間過ごした夢の生活…。それは夢と言うよりも、魂だけが異世界に飛ばされ、実際に体験しているのではないかと思える程、リアルな物だった。
連続して見ているせいか、何故か懐かしさも感じ、とても興味深い。
(7日間の潜伏で分かったのは…あっちの世界でも時間軸が存在し、夢の中も少しずつ変化している…)
現実世界のように昨日、今日、明日などの概念が存在していた。
それは自分だけで無く、第三者も同様であり、共通の認識が可能である。
通貨、住所等の概念もあり、人々の細かな生活感の設定も充実していた。
(凄くリアルティのある夢…)
何故こんな夢を見るのだろか
まるで何処ぞの漫画の世界のようだ。
それ以上思考がまとまらなくなった優奈は、紙をノートの下に隠し、黒板の文字を写すことに集中した。
聞き慣れた機械音が耳に入る。
目を開くと見慣れた天井が目に入る。
お気に入りのキモカワ猫のぬいぐるみ、にゃん太も枕元にあった。
「……やっと現実に帰って来れた」
熟睡しているはずだが、休めた気がしない。
身体が重く、筋肉痛のような鈍い痛みが全身に伝わってくる。
夢の中であれだけ動き回れば、当たり前と言えば当たり前だ。
優奈は重い瞼を擦りながら、ベッドから身体を起こす。
おかしな夢の終わりはいつ来るのだろうか。
今日の夜もまた見るのだろうか。
そう思うと、寝るのが億劫になる。
睡眠時間を減らそうかと試みたが、何故か0時前になると異様な眠気に襲われ、いつの間にか寝てしまう。
この夢を見始めて良かったと思える点は夜更かしが出来なくなった事、そして朝きちんと起きられるようになった事位だ。
優奈は寝巻きを脱ぎ捨て、制服へと着替え始める。
彼女は東京都内の高校に通う、普通の女子高校生である。
元々は九州生まれだが、親の仕事の都合で高校から都内へと引越してきた。
まだ半年しか経っていない為、不慣れな事ばかりだ。
そのせいでこんなおかしな夢を見るのだろうと、優奈は自分に言い聞かせていた。
リビングへと向かうと、香ばしい朝ご飯の匂いがする。
「おはよう優奈。最近寝坊しなくなったわね」
「んー…夢見があまりよろしくなくて」
優奈の母親は台所で朝ご飯の支度をしていた。
居間のテーブルには、既に父親と弟のかずきが座っていた。
「姉ちゃん凄いね、もう1週間も寝坊してない」
「うっさい」
ケラケラと笑うかずきに素っ気なく返すと優奈は席に着いた。
かずきの言う通り、寝坊が減り、朝食をきちんと食べられるようになったのはありがたい事だ。
「前まではろくに朝ご飯食べてていなかったからな。年頃の子は、ちゃんと食べないと」
嬉しそうに笑う父親に、優奈は何も言えず、黙々と朝ご飯を食べる事しかできなかった。
「ご馳走様でした」
食べ終わったかずきは合掌をしながら終了の意を示すと、台所から離れていく。
「さて、俺もそろそろ出かけるかな」
父親も同様にその場から離れて行った。
1人机に残された優奈は、お皿に乗っている目玉焼きを口に放り込みながら、2人を見送った。
★★★
少し肌寒さを感じるこの時期は秋だなと感じさせる。
時は10月、もうすぐ冬が訪れる。
制服のスカートが寒くなり、ジャージを下に履きたい衝動に駆られつつも、優奈は今日も制服を着こなす。
肌寒いおかげか、この時期は授業中もあまり眠くならない。
優奈は黒板の内容をノートに写しつつ、別の紙に夢の相関図を書いていた。
7日間過ごした夢の生活…。それは夢と言うよりも、魂だけが異世界に飛ばされ、実際に体験しているのではないかと思える程、リアルな物だった。
連続して見ているせいか、何故か懐かしさも感じ、とても興味深い。
(7日間の潜伏で分かったのは…あっちの世界でも時間軸が存在し、夢の中も少しずつ変化している…)
現実世界のように昨日、今日、明日などの概念が存在していた。
それは自分だけで無く、第三者も同様であり、共通の認識が可能である。
通貨、住所等の概念もあり、人々の細かな生活感の設定も充実していた。
(凄くリアルティのある夢…)
何故こんな夢を見るのだろか
まるで何処ぞの漫画の世界のようだ。
それ以上思考がまとまらなくなった優奈は、紙をノートの下に隠し、黒板の文字を写すことに集中した。