追放の堕天使
「あー、うるさい。……ミツ、そこにいるんだろう。お前の憎むべき相手はここにいる。とっとと殺しなよ」

サーラは扉に向かって微笑みかけた。

「いいのか? そいつ、お前の父さんなんじゃねぇのかよ?」

「ちょうどいい隠れ蓑だっただけだよ。ほら、早くしないと、俺が君に止めを指すけど?」

空間が歪み、ミツが翼をはためかせて、神の前に立ち塞がった。

いや。もはやそれは神ではなかった。サーラの力を得て、神の姿をしていたそれは、萎んで紙屑のようになっていた。

「……やらないのかい? メツの仇を取るんだろう?」

「メツの仇はこいつじゃねぇ。アンタだ」
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