追放の堕天使
「フフ……それが君の決断なのかい? なら、俺も容赦なく、君の大切なモノを奪うとしよう」

サーラが持っていた水晶を床に落とすと、下界から断末魔のような叫び声が聞こえてきた。

「な、何を……!?」

「君たちが暮らしていたあの塔。あそこには、まだメツが残っていたんだ」

「でも、俺は止めを」

「残留思念みたいなものだよ。でもこれで、やっとエデンに連れてくることができた」

ミツが唇を噛み締めると、幸村は面白そうに笑みを浮かべた。

「な……まさかアンタ」

「君たちの契約の内容は知っていたよ。君も知っているだろう? 神々は、エデンの死人たちを操ることができる」

「……つまりアンタは、俺と仁王を戦わせるってわけか?」

「もちろん。柳、頼んだよ」

「了解した」

柳が連れてきたのは、虚ろな眼をした仁王だった。
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