追放の堕天使
「……これで満足か、サーラ」

「ああ。上手くやってくれて助かったよ、父さん」

「なぜあのふたりに、あそこまで残酷な罪を与えようと思ったのだ?」

「父さんの目は節穴かい? エデン崩壊は、最も避けなければならないものだからだよ」

「だが……」

「父さんは俺の言うとおりに動いていればいいんだよ。どうせ、俺がいなければ、力さえも失ってしまう、出来損ないなんだから」

息子にそこまで言われ、神は黙り込んだ。

悔しいが、彼の言うとおりだった。
神はそういう家に生まれたと言うだけの理由で、エデンの頂点に君臨しているだけだった。

「そんな不機嫌そうな顔しないでよ。……でも、これから楽しくなりそうだな」

「どういう意味だ?」

「俺の配下をひとり送って、あの二人を上手いように相討ちさせてみようと思うんだ」

「何もそこまで」

「悪いけど、輪廻転生は上手くいかないと思うな。あれはまだ試験段階だ」

「……お前がそうしろと」

「だから、相討ちさせて、エデンでまた俺が止めを指すんだよ。面白そうだろう?」

息子の悪どい笑みに、神は背筋が凍った。
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