愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「いとこ……」と彼の言葉を繰り返した後は、拍子抜けしたようにポカンとしてしまう。
ということは、思い悩んだり、胸を痛めたりする必要はなかったということなの……?
エマさんは、桐島さんの叔父である、ベルギー社の代表の娘なのだそう。
ちなみに旦那さんがいるとも聞かされて、驚いていた。
それを私に説明しながら、桐島さんは苦笑いする。
「エマは、夫婦喧嘩をすると私のところへ来る。愚痴を聞いてもらいたいからだと思うんだ」
これまでは、他に下宿人がいたため、エマさんを紫陽花荘に連れてくるわけにいかず、桐島さんが彼女の宿泊先のホテルに行って夫婦喧嘩の話を聞いてあげていたのだそう。
来日五度目となる今回は、紫陽花荘の住人は私と桐島さんしかなく、同性で年もそれほど離れていない私とエマさんなら、楽しい交流ができるのではないかと考えたみたい。
灰青色の瞳が、緩やかな弧を描く。
「音楽家の両親は、私が子供の頃から世界各地に演奏旅行に出かけていた。ひと月ふた月帰らないこともよくあり、私はその間、叔父の家に預けられました。エマとは本当の兄妹のような絆がある。大きくなっても兄を困らせる妹が、私は愛しい。けれどもそれは、恋愛感情とはまったく別物です」
ということは、思い悩んだり、胸を痛めたりする必要はなかったということなの……?
エマさんは、桐島さんの叔父である、ベルギー社の代表の娘なのだそう。
ちなみに旦那さんがいるとも聞かされて、驚いていた。
それを私に説明しながら、桐島さんは苦笑いする。
「エマは、夫婦喧嘩をすると私のところへ来る。愚痴を聞いてもらいたいからだと思うんだ」
これまでは、他に下宿人がいたため、エマさんを紫陽花荘に連れてくるわけにいかず、桐島さんが彼女の宿泊先のホテルに行って夫婦喧嘩の話を聞いてあげていたのだそう。
来日五度目となる今回は、紫陽花荘の住人は私と桐島さんしかなく、同性で年もそれほど離れていない私とエマさんなら、楽しい交流ができるのではないかと考えたみたい。
灰青色の瞳が、緩やかな弧を描く。
「音楽家の両親は、私が子供の頃から世界各地に演奏旅行に出かけていた。ひと月ふた月帰らないこともよくあり、私はその間、叔父の家に預けられました。エマとは本当の兄妹のような絆がある。大きくなっても兄を困らせる妹が、私は愛しい。けれどもそれは、恋愛感情とはまったく別物です」