愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
その時、誰かにポンと肩を叩かれた。

振り向けば桐島さんがいて、私は目を瞬かせる。

そういえば、まだ帰宅時間を知らせるメールが届いていなかったと思いつつ、いつもよりかなり早い帰宅となったわけを推測する。

「明日は早朝から出張ですか?」と思いついた理由を口にすれば、彼は静かに首を横に振った。


「今日はスケジュールを詰められそうだったから急いで仕事を片付けたんだ。有紀子と過ごす時間を少しでも長く取りたくてね」


その言葉に胸を熱くした私であったが、「今夜はたっぷり練習できる」と片目を瞑った彼に言われると、感激は吹き飛んで、恥ずかしさが込み上げた。


練習って、スキンシップのことだよね。

今日はどんなことをするのかな……。


火照る頬を両手で押さえて照れる私をクスリと笑ってから、桐島さんがショーウィンドウに視線を移した。

「この服を見ていたね。着てみたいの?」と不思議そうに問われて、私はギクリとする。

きっと、これまで私が高級ブランド品に興味を示したことがないから、彼は疑問に思ったのだろう。

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