愛育同居～エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい～

気づけば上の列の五つを食べきっていて、ハッとした私は顔を曇らせ、「一気に食べちゃった。もったいない……」と呟いた。

すると、黙って麦茶を飲んでいた桐島さんが吹き出して、「失礼！」と慌てて座卓に飛んだ水滴をティッシュで拭いている。

それでも笑いを収められずに肩を揺らしている彼を見て、私の言動がいささか子供染みていたかと恥ずかしさが込み上げた。

しかし、「またすぐにプレゼントするから好きなだけ食べていいんだよ」と言われると、「わっ、ありがとうございます！」と曇り顔から一転、パッと顔を輝かせて無邪気に喜んでしまった。


あ……私も一応大人なんだから、こういう時は遠慮した方がよかったかな……。


またしても子供っぽい反応をしてしまったと目を泳がせれば、桐島さんが伸びやかで少し低く、深みのある声で「嬉しいよ」と言った。


「有紀ちゃんは幸せそうに食べてくれるから、贈りがいがあります」

「で、でも、私は桐島さんになにもお返しできないのに……」

「色々としてもらってるよ。美味しい食事の支度と丁寧な掃除。こんなに素晴らしい住まいを与えてくれて、感謝しています。この前のアイロンがけも、ありがとう」