愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
かえって平常心でいられないことを伝えてしまったと焦ったら、桐島さんが私の真後ろに移動した。

肘を折り曲げた左腕をガラス戸につき、右手を私の体に回す。

背中に彼の温もりを感じ、口から心臓が飛び出しそうな私に彼は、耳元で吐息交じりに囁いた。


「昼のあの件は、ありがとう」

「え?」

「有紀子が怒ってくれて、不覚にも喜んでしまった」


自嘲気味に笑う彼の声が、私の耳をくすぐる。

意識しすぎの今は、それだけでビクリと体を震わせてしまうけれど、桐島さんがそう言ってくれるなら、あの時、言い返してよかったと嬉しい気持ちにもなっていた。

私は照れ笑いしながら、ガラスに映る彼と目を合わせる。


「桐島さんが私を大切に思ってくれることは、毎日の生活の中で伝わってます。私の方こそ、ありがとうございます」


彼も嬉しそうに目を細めていたが、その顔が急に男の顔付きに変わる。

右手の人差し指で私の唇をなぞり、「キスしたい。こっちを向いて」と艶めいた声で誘われた。

キスは何度もしているはずなのに、新鮮な胸の高鳴りを感じるのはどうしてだろう……。

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