愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「ベルギーに本社を置く企業の子会社です。日本支店だと思ってもらえるとわかりやすいかな。仕事内容はごくごく普通のもの。私は今の仕事が好きだけど、デスクワークや会議が多くて、有紀ちゃんにはつまらないと思われてしまいそうです」


冗談めかして言った彼の言葉を、私は慌てて否定する。


「つまらないなんて、そんなこと思いません。かっこいいと思います」


私は高校在学中からずっと、アルバイトと下宿屋の手伝いをして、それ以外の仕事をしたことがない。

会社という大きな組織の中で働く、OLという言葉の響きに、密かに憧れていた。

一度くらい、会社勤めを経験してみたかったな……と。

下宿屋の仕事が一番好きなので、今の生活になんの不満もないけれど。


桐島さんの説明では具体的な仕事風景を思い浮かべることはできなかったが、それでも話してくれたことに満足していた。

それと同時に、いつかは親会社のベルギーに帰ってしまうのだろうと思い、寂しい気持ちにもなる。

その気持ちを口にすれば、彼はなぜか嬉しそうに微笑んだ。

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