愛育同居～エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい～

「有紀ちゃんが寂しいと思ってくれるなら、帰らないことにしようかな」

「えっ!?」

「それは冗談だけど、帰る気がないのは本当だよ。というより、私は日本人だから。ベルギーの会社から戻れと辞令を下されない限り、紫陽花荘に居座ります」


「有紀ちゃん、末長くよろしく」と言って明るく笑った桐島さんに、私は安堵と喜びを感じていた。

下宿というのは、住人にとっては一時的な住まいで、いつかは出ていってしまうものだと思っていた。

ここを気に入り、末長くと言ってくれた桐島さんの気持ちが嬉しい。

でも、彼にも家族がいるはずで、ずっと日本で暮らすことに反対はされないのだろうか……？


その心配を口にすれば、「問題ないよ」とサラリと言われた。


「私はひとり息子だけど、親戚は多く、両親が困れば助けてくれる人が大勢います。それに両親は演奏家なので、世界中を飛び回り、ベルギーに滞在している時間は多くない」