愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
ドアを開けると、爽やかで清涼感のある香りをほのかに感じた。

洗濯洗剤の香りだろうか。


他の男性下宿人の部屋は汗や皮脂の匂いがして、失礼ながら息を止めてしまう時もあったのに、桐島さんの部屋はいつでも清潔な香りがする。

部屋の中もシンプルでスッキリと片付き、散らかっているのを見たことがなかった。


六畳間にあるものは、ちゃぶ台のような丸い座卓と、レトロな和箪笥。それと小さな書棚がひとつに、隅にはシルバーの大きなスーツケースが置かれている。

布団を含めた他のものは押入れに収納されているようで、少し寂しいと感じるほどに綺麗に片付いた部屋であった。


桐島さんは濃紺の紬の着流しを着て、座卓の前にあぐらを組んでいた。

私の予想通り、ノートパソコンに手を置き、仕事中の様子である。

邪魔したことをまず謝れば、灰青色の瞳がにっこりと弧を描き、彼は首を横に振った。


「仕事といっても、メールチェックだけだから構わないよ。どうしたの?」

「あの、聞きたいことがありまして……」



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