愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
言いにくい話を始めようとすれば、目が泳いでしまうのが私の悪い癖である。
荷造り用のダンボールもない、いつも通りの彼の部屋に視線を彷徨わせ、「引越しのことなんですけどーー」と口にしたら、「ちょうどいい」と彼に言葉を遮られた。
「私も有紀ちゃんに、それについて話さなければと思っていたところでした」
どうやら引越しをちゃんと考えてくれていたようで、私はホッとして視線を戻す。
けれども、「ありがとうございます。それで、いつになりますか?」と問いかけたら、「違うよ」と言われてしまう。
ドアの前に佇み戸惑う私に向けて、彼は「引越しはしない」と、真面目な顔ではっきりと拒否を口にした。
そんなこと言われても、経営していけないのに困るよ……。
彼は自分が使っていた一枚しかない座布団を私に勧め、「ここに座って」と促す。
それに従い、桐島さんと向かい合うようにして座布団に正座をしたら、ノートパソコンを閉じた彼が予想外なことを口にする。
「有紀ちゃん、紫陽花荘の建物と土地を、私に売ってください」
「えっ……!?」
荷造り用のダンボールもない、いつも通りの彼の部屋に視線を彷徨わせ、「引越しのことなんですけどーー」と口にしたら、「ちょうどいい」と彼に言葉を遮られた。
「私も有紀ちゃんに、それについて話さなければと思っていたところでした」
どうやら引越しをちゃんと考えてくれていたようで、私はホッとして視線を戻す。
けれども、「ありがとうございます。それで、いつになりますか?」と問いかけたら、「違うよ」と言われてしまう。
ドアの前に佇み戸惑う私に向けて、彼は「引越しはしない」と、真面目な顔ではっきりと拒否を口にした。
そんなこと言われても、経営していけないのに困るよ……。
彼は自分が使っていた一枚しかない座布団を私に勧め、「ここに座って」と促す。
それに従い、桐島さんと向かい合うようにして座布団に正座をしたら、ノートパソコンを閉じた彼が予想外なことを口にする。
「有紀ちゃん、紫陽花荘の建物と土地を、私に売ってください」
「えっ……!?」