愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「ええと、実はうまくいってないんです。正職員で採用してくれる会社を探すのは、諦めようかと思って……」


これまで四社の面接を受けたけれど、残念ながら採用してもらえなかった。

履歴書の資格欄が空白なのを見た面接担当者に、『なにかありませんか?』と問われて、『はい、なにもありません……』と答える自分が恥ずかしかった。

一生懸命に働きますという意気込みだけでは、駄目みたい。

これ以上、働かずにいては貯金が減る一方で不安なため、派遣会社に登録して短期雇用の仕事を得るか、もしくはもとのコンビニでアルバイトを……と考えている。


それを包み隠さず打ち明ければ、桐島さんは「頑張ったんだね」と私の努力だけは認めてくれて、それから「少し待っていて」と立ち上がった。

そのまま居間を出て、二階の部屋に戻った様子の彼は、私が食器を片付けようとお盆にのせている最中に戻ってきた。


「これをどうぞ」と渡されたのは、A4サイズの一枚の用紙。

それには、とある企業の求人情報がプリントされている。

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