愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
そう言いながら、自分の情けなさを改めて感じ、口からはため息がこぼれる。


派遣会社に登録して働きながら、余裕があれば通信講座でなにかの資格を取ろうかな。

学ぶことは好きで、本当は高校卒業後に進学したかった。

今のままの私では、モルディの採用試験を受けようという勇気も出せないよ……。


無理だとわかっていながらも、用紙に印字されたモルディの社名を、物惜しげに見つめてしまう。

すると桐島さんが、「受けてごらん。きっと大丈夫だから」と根拠のない楽観的な見方で諭しにかかる。


「で、でも、大学も出てないのに……」

「モルディは人材の募集に学歴を問わない。その人がモルディに入社してなにをしたいのか、なにができるのか、それを重視しています」


高卒でもいいの!?と驚き、一瞬、その気にさせられたが、私がモルディのためになにができるのかと問われたら、返事に窮する。

チョコレートが好きだという思いだけでは、やはり採用してもらえないだろう。

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