つなげば星座になるように
星はスバル、言葉は統ばる
金髪で碧眼で長身の、

例えるならば、それこそ、おとぎ話に出てくるようなキラキラの王子様が、

私の目の前に立っている。

背後には女子の群れ。

ドレスや羽根飾りのついた扇子などは持っていないけれど、それに負けない華やかさ。

私は…


――え~と、昼ごはん中なんだけど…


今日は天気がいいから、大学構内のオープンテラスで、バルコーネの焼きたてのパンでも食べようと、せっかく並んで買ってきたのに。


――なぜ、こんなことに?


そんな私の混乱に配慮する素振りもなく、王子は私を見下ろして、冷ややかに言った。


「ああ、なるほど」

「つまり結衣(ゆい)、キミは日本人のクセして、日本語が一番不自由と言うわけだ。お気の毒に」


なんで、私はこの人に、こんなイヤミを言われているのだろう?


――何かしたかな?

「そ…ソーリィ(sorry)…」


日本人のダメなところだとは思いつつも、とりあえず謝ってしまった。

それが、とにかくよくなかったらしい。

王子は、私をにらむと、束になった論文のコピーや資料を、

バシッ!

…と、テーブルに叩きつけるように置き、無言で去って行ってしまった。

女子もそれにゾロゾロとついていく。
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