つなげば星座になるように
*★*―――*★*


「アレ?…違う」


学生寮に戻って確認すると、王子が置いていった資料は講義のものではなく、クラッシックの楽譜や童謡といった内容のものだった。

わざわざ海外から取り寄せたものまである。

今度の歌葉部のイベントでは、ミニコンサートを計画していて、

その選曲に困っていることを、確か、この前のグループワーク中の雑談で、王子に話した気がする。


「た…大変っ」


慌てて王子にお礼のメールをする。

昼間の一件があったので、正直読んでもらえるか不安だったけれど、予想に反してすぐさま返事が来た。

5分で学生寮の前まで来るそうだ。


――なんで来る?


確かに顔を見てお礼を言いたいけど、時間も遅いし、取りあえず先にお礼メールと思ったんだけど…

まさか、他にも何か、王子を怒らすようなことを、やってたりして…


「ど、どうしよう…」


落ちつかなくて、寮の前で待っていようとエントランスに降りたところで、

5分どころか、ものの2分も経たずに王子の車が到着した。


「あ、王子…っ」

「……!!」


王子は私を見つけると、なぜか一瞬、ギョッと、した表情をして、慌てて車から降りてくる。


「乗って!」


有無を言わさず、腕をつかみ助手席に押し入れると、いきなりお説教が始まった。


「女性がこんな夜に1人で、危ないでしょ!」

「……?、降りてきたの、ついさっきだよ」

「No excuses!それに、その薄着…っ」


言いかけて、王子が顔をそむける。

なんだか耳が赤い。


「……お風呂入ったあとだったから…」


パジャマ替わりにTシャツと高校の時の短パンを着ていることに気付く。

それに、まだ髪を乾かしていなかった。


「シート濡れちゃう、この車、高そうだし…、降りるね?ごめんね?」

「待って」


突然、腕をつかまれ制止される。
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